森山良一牧場は、九州は熊本県菊池郡にある。経産牛14頭、未経産牛5頭、育成牛15頭の小規模ながら、経営の中身はスゴイのである。森山さんは、佐賀県の酪農研修センターで酪農を学んだ。酪農を始めたころは農協や指導者の言うように、配合をドンドン増やして乳量を伸ばしてみた。しかし、そうすると乳量は増えても利益が減っていることに気づいたのである。そのとき、酪農研修センターでは、1日に4キロ程度の配合しかやっていないのに、40s以上も乳量を出す牛がいたではないか、と考え直したのである。だから、徐々に自給組飼料の給与量を増やし、4年くらい前から自給飼料を飽食させるようになった。8月から4月まではデントコーンのサイレージを1日1頭当たり40キロ、4月から8月まではイタリアンのサイレージをご30キロから40キロ飽食させている。
森山さんは、あくまで栄養濃度が高く繊維濃度の低い粗飼料を飽食させて、乾物摂取量をどれだけ上げるかが、高泌乳・低コスト・繁殖管理バランスをとる基本だと言い切る。言い換えれば、このことに命がけでやっている。 |
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「目標は乳量ではなく所得。所得の源泉は買いエサを減らし、TDNの高い自給粗飼料だ」という森山さん |
そのため、デントコーンであれぱ子実割合の高い、TDNが70%以上になる品種を選ぶ。乾物の量より質を追及している。そして、乾物率が30%以上になるまで刈り取らない。水分が少しでも多いと、乾物摂取量が落ちるからである。
イタリアンの刈り取りの神経の使いようはハンパではない。なぜなら、1週間も刈り取り通期を逃したら、30%も摂取量が落ちることの恐ろしさをよく知っているからだ。 搾乳牛は14頭しかいないが、今のところ所得に余裕があるので、増頭するより、62〜63%の所得率を70%に上げることが大切だと言う。 |
それは、粗飼料の乾物摂取量を更に挙げて、買いエサを減らすことだと言う。その方法論は別稿で紹介するが、いたって簡単でアッケナイものである。
年間平均乳量は8,000s、タンパク質、3.5%、全固形分率13.5%(脂肪率4.6%、無脂固形分率8.9%)。そして何よりも繁殖管理が素晴らしい。空胎期間は80〜90日と安定しており、繁殖障害や疾病にかかった記憶は、ほとんどない。しかも細菌数11〜12万と安定していて、高い乳価で売れる。だから、1日当たりの乳量が上がって、乳価も高いから所得率がアップするのだ。 森山さんは「豊作貧乏という言葉があります。乳量を上げれば所得が上がると考えるのは、この豊作貧乏の典型なんです。まず買いエサを滅らして所得率を上げる技術を確実なものにしてから、頭数を増やすという考えでなければ…」と言う。
森山さんの給与技術は、8000sの乳量のとき、粗飼料の飽食以外にはプレミアムのルーサンが4キロ、乳配が1〜2キロ、大豆・トウモロコシの圧ペンが3〜4キロと、いたってシンプルである。シンプルではあるが、サイレージの質は写真で見るように、子実の詰まった乾物率30%以上の抜群のものだ。 |
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今春の早播きは、3699とセシリアという森山さん。3699は東北・関東・九州と応用範囲の広い、マルチでスーパーな新品種 |