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先月号までに良質な自給粗飼料を生産することが如何に酪農経営にとって有益であり、2001年の関税引き下げ後の生き残りのために必要不可欠であるかを述べてきた。しかしながら酪農家の粗飼料に対する意識は十分であるとは言えない。粗飼料の重要性は3月号で紹介したケイワスの実験からも明らかであるが、現実には濃厚飼料や飼料添加物を使った小手先の技術ばかりが先行してしまっている。今回からは、もう一度原点に戻って酪農家の所得を向上せしめる良質粗飼料について考えていきたいと思う。
■個体乳量ではなく牛群の日平均乳量を追及する
酪農を経営という側面から見た場合、どれだけのコストを投入して結果的にどれだけの収入を得られるかが重要ポイントであり、飼養管理の観点からすれば、どれだけ飼料費を低く抑えて乳牛の生産効率を高くできるかなのである。
一般に飼養管理のレベルを計る尺度として、乳検乳量を用いることが多い。最も重要であるべき所得を引き合いに出すことはあまりない。経営上重要なのは、乳検乳量が多いことだけではなく、乳牛1日1頭あたりどれだけの乳量があり、生産費がいくらかかっているかということである。分娩間隔が14ケ月の8,000キロよりも12ケ月の7,000キロのほうがバルクに溜まる牛乳の量は多い。つまるところ、分娩間隔を短くすることが経営的に非常に重要なポイントになると言うことである。しかしながら現実には、4月号で紹介したように分娩間隔はここ数年伸ぴる傾向にあるのである。
■乳牛の生産性を向上させるために繊維についての考えを見直すべきである
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乳牛1頭あたりの圃場面積が狭く、慢性的な粗飼料不足に陥っている府県では、「粗飼料より濃厚飼料の方が安いのだから、自給飼料で、センイの割合が高くガサの多い粗飼料を生産し、エネルギーとタンパクは安い濃厚飼料で補った方が経済的である」という話しをよく聞くようになった。確かにコンピューターを使った飼料設計では、見かけ上の乳牛の要求量を満たしたメニューを組み立てることは可能である。しかしながら、実際には高泌乳牛であればあるほど生産周期病と言われる疾病が多発してしまう。そして結果的に牛群全体の生産性は低下する。そして、生産周期病の多くは、エネルギーバランスが負になる泌乳初期に集中的に起こり、高泌乳牛ほど問題が多くなる。一体どうしてこのようになってしまうのだろうか。 |
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高泌乳牛は粗剛な繊維の給与で乾物摂取量不足、エネルギー不足で痩せるのだ。だから、繁殖も悪くなる。 |
自給飼料では粗剛なセンイを生産した方が経済的に有利であると考えるのは、センイに対する認識に誤解があるためである。NRC飼養標準には飼料中のNDFやADF濃度の推奨値は示されていても、乳牛にとってのセンイの要求量は示されていない。それよりもむしろ、NDFは乾物摂取量との負の相関があり、ADFは消化率との負の相関があると説明されているのである。つまり、NDFとADFの高い飼料は乾物摂取量が低い上に消化率も低いという飼料として価値の低いものといえる。センイが要求されるのはルーメンの微生物に対してであり、乳牛そのものに対してではない。
粗飼料からのエネルギー供給の不足を濃厚飼料で補おうとしてもケイワスの実験結果からも明らかなように、濃厚飼料の給与は50〜60%(12〜13キロ)が限度であり、これ以上給与しても乳牛はエネルギーを獲得出来ない。つまり、濃厚飼料からのエネルギーだけでは、高泌乳牛には対応出来ないのである。ゆえにセンイ濃度の低い良質粗飼料が重要となるわけである。つまり高泌乳牛に対して劣質な粗飼料を給与した場合、エネルギー不足になるがゆえに牛は自分の体を削ることで牛乳を生産し続ける。そして結果的に正常な繁殖プログラムが維持できず分娩期間が長くなってゆくのである。
■自給飼料として生産すべきものはデントコーンである

つまり一般的な粗飼料の中では、若刈りのルーサンや同じく若刈りのイネ牧草、あるいは子実の充実したトウモロコシサイレージしかないのである。ルーサンは購入飼料として比較的安価に手に入るものの良質なものは高価であり、イネ科牧草は、収量と品質が相反するために刈取り適期を見極めるのが非常に難しい。それに対してトウモロコシは、刈取り適期である黄熟期が最も収量が高く、かつ反収が格段に高い。ゆえにヨーロッパ諸国ではトウモロコシの作付けが急激に伸びているのである。2001年以降の国際競争に打ち勝つには、乳量増、コスト低減、そして乳牛の効果的な活用(繁殖管理)が不可欠であり、そのためには如何に良質なコーンサイレージを作るかが最大のチャレンジとなるべきであろう。
 
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