適期に収穫したトウモロコシが牛を変え経営を変える

■とうもろこしの抜群のスゴサ
 全国で現在作付けされている飼料用のトウモロコシの栽培面積は、約110,6OOha(平成6年)にのぼる。トウモロコシは収穫が年1回でイネ科やマメ科牧草などの多回刈りの作物と比較し、労力的に軽減し、集約的に管理をすることが可能である。また、栽培学上においても家畜栄養学上においても、飼料作物としてトウモロコシがアルファルファを含めた牧草類と決定的に異なる特徴は、「最大乾物収量が得られるときに最大栄養濃度に達する」という点である。トウモロコシ以外の飼料作物は、粗飼料としての「質」と「量」が一致しない。粗飼料の「質」を求めれば圃場の生産効率が低下し、量を求めれば乳牛の採食性が低下することで家畜生産性が低下することになる。ところが、トウモロコシだけは、最大乾物収量に達した時に乳牛の最大乾物摂取量と粗飼料からの最大エネルギー摂取量が得られる。今回は、収穫時期も近いことからトウモロコシの特徴を見直し、その利点を最大限引き出す損をしないサイレージ作りに関して話そう。

■収穫適期を逃せば二重の損をする
 適期に刈り取りが行われたトウモロコシは、エネルギー濃度が高いため産乳性の向上が期待できポディコンディションを良好に維持する。さらに、NDFやADF値が開花初期のアルファルファ、出穂前のイネ科牧草同様低く、非常に採食性の高い作物である。しかし、実際現場においてはサイロ開封後の二次醗酵を懸念し多少水分が高めのステージで収穫を始めたり、茎葉タイプのトウモロコシなので茎葉部の消化率が高い時の方がメリットがある。という理由で高水分のトウモロコシを収穫適期前に刈取を始めている。しかし、これらのことが乳牛の飼養管埋上、家畜生産性を低下させる大きな要因になっているのだ。 適期に収穫されなかったトウモロコシの1つに水分含量の高いサイレージがある。NRC飼養標準(1989)にも書いてあるように、水分の高いサイレージは乳牛の採食性を低下させる。特にサイレージ主体の給与体系において、飼料中の水分含量が50%を越える場合、2%の水分増加につき生体重10Osあたり0.02sずつ乾物摂取量が低下する。したがって、高水分サイレージの給与は飼料全体の水分を高めるため、濃厚飼料や繊維の量を含めたトータルの飼料給与を見直さなければならない。また、黄熱期前に刈取られたトウモロコシは子実の充実が不足しておりTDNが低い。とくに、泌乳初期段階の乳牛では生埋的にも飼料摂取量が低く、急激な産乳量の増加に対して食い込みがついていかずエネルギー不足を引き起こす。そのため乳牛は体脂肪を動員しポディコンディションを低下させるが、急激な体重減少は発情回帰を遅延し、繁殖効率を著しく低下させる。トウモロコシの収穫適期を逃すことは、すなわち乾物摂取量を減少させ、粗飼料から得ることのできる濃度の高いエネルギーを乳牛が充足できず、体重の減少、代謝障害、疾病の発生、産乳量の低下により効率的な経営を阻害する要因となる。収穫適期をまもることが、乳も出るが金もでる採算の含わない経営から脱却する近道なのである。
サイロの上部と下部でサイレージの水分含量が大きく違う。これでは乳牛の乾物摂取量は上がらない。


セシリアのように子実の多く入った品種は乳牛の生産性を高める。

■二次発酵は利用を工夫すれば恐くない
 トウモロコシは、適期に収穫すればTDN収量も上がり、乾物率の高い飼料作物となることはすでに述べた。ところが、サイロ開封後の二次醗酵を恐れるあまり適期より若刈りをするというのは、トウモロコシの品種能力を100%引き出していないばかりか、圃場と家畜生産性を二重に損をしているのだ。二次醗酵の原因は、1日の取り出し量が少ないからである。1日当たりの取り出し量が少ないのは、乳牛の採食量が少ないか人間がそれだけの量しか給与していないのかのどちらかであろう。北海道のある農家の自給飼料の給与例を紹介する。「我が家の自給飼料の給与計画は、トウモロコシサイレージのあるときはトウモロコシサイレージだけで、無くなればグラスサイレージだけでメニユーを組みます」と述べている。そうすることで生まれる第一の利点は、「メニューが単純化したことで労働力の軽減が実現したことです。何しろ、サイロを二本開けてそれぞれのサイレージの重量を計ってTMRを作るのは大変な作業ですからね」。第二の利点は、「1日の取り出し量が増え、夏でも二次醗酵しません。いつも新鮮なサイレージを与えることができるので、結果的には採食量が増加し、産乳量の増加と適正な繁殖が実現できています」。このように作業性の向上とサイレージの品質低下を抑え、

粗飼料の品質が良い時期により多くの粗飼料を食わせ込むことが人にも牛にもよく、結果的に収益性の高い酪農経営を展開していることになるのである。この農家をご指導されている普及員の方は、「こんなに飼料計算の精度が秀でるようになっているのに、それぞれの粗飼料の特徴を生かして、それに濃厚飼料を適正に合わせられないはずないでしょう。机上の計算で良いからといって農家に過剰な作業負担をかけるような指導をしても長続きはしませんよ」と述べている。こうした飼料給与の実際の作業面を含めた総合的な飼料管埋の手法は、「土→草→牛」というそれを実行する人間のことを考えない形骸化した指向からは生じてこない。「牛の必要としているものは何か」→「それを供給するための簡易な方法は何か」→「その飼料をどう作るべきか」という「人→牛→草→土」という逆転の発想と柔軟な指向から生まれてきたものであろう。こうした農家と指導員が口をそろえて言うのは、「その土地でもっとも生産性と乳牛の採食量の高い作物を作り、それを最大限に利用することが経営の利益増加につながる」ということであった。
そして「今後はもっとトウモロコシの面積を増やそうと思っている。なにしろ面積当たりの乾物収量が高いし、作業性も良いからね。圃場面積を拡大せず、トウモロコシの作付け比率を高めることが経営規模を拡大するための切り札だと思うよ」と述べていた。
■1132は新たなサイレージ調整のツールである
 トウモ口コシのパフォーマンスを最大に引き出す一つにサイレージ調製用乳酸菌1132がある。トウモロコシだけのために誕生した1132は適期に収穫されたトウモロコシの消化率を高め、サイロ開封後の二次醗酵抑制効果に抜群の威力を発揮する。安定したサイレージ給与により産乳量の増加も認められた1132は、あなたのサイレージを協力にパワーアップする。


腹一杯食っている牛は
疾病も少なく何より
働いてくれる