産乳量が7000キロを超えたらエネルギーは
濃厚飼料から粗飼料(デントコーン)に切り換える!

平成7年度の調査結果(図@)を見て頂きたい。経産牛1頭当りの飼養頭数と平均乳量である。図Aは過去3年間の濃厚飼料の給与量である。乳量が、北海道では平均6500キロから7000キロ未満なのに、1日当たり濃厚飼料を9.2キロも給与していることになる。乾物摂取量のおよそ半分が濃厚飼料である。

図@飼養頭数規模別の経産牛1頭当り乳量

図A濃厚飼料給与量〜北海道

■濃厚飼料ではもうダメなのか。
 
乳牛は繊維を含めたエネルギーと、タンパクをメインの飼料としている。しかし、エネルギーはキロ単位で必要だが、タンパタはグラム単位で必要なだけだ。泌乳の前期にエネルギー不足になると産乳量のピークが早く、繁殖障害が多発して全体的な乳量に致命釣となる。7000キロまでの産乳量ならNDFが高く、エネルギー(NEL)の低い刈り遅れの牧草・ロール・稲ワラ等の粗飼料でも、濃厚飼料を乾物摂取量の限界的な半分以上に給与しても、飼養管理上さほど問題なかった。
 
70年代のチャレンジフィーディングは、濃厚飼料多給型という世界でも類を見ない、高いコストをかけて乳量を出すバブルな酪農の原形を作った。例えば、すでに当時でもデントコーンのようなエネルギーの高い粗飼料に濃厚飼料を多給すると、当然過肥牛が出たのだが、それをデントコーンのせいにして、濃厚飼料をそのままにしてデントコーンを減らし、乾草や牧草に切り換えた。過肥牛を、お金のかかる濃厚飼料のせいにしなかったのである。
 結局、酪農家の支出が増えただけだ。当時の乳量が6000キロから8000キロになったけど、それは、デントコーンと高タンパクなサプリメントでも十分可能だったのである。しかし、このバプルな飼養管理も、その欠点をどうしても隠せなくなってきた。それは、黙っていても9000キロ以上も出す
”遣伝的高泌乳牛”の出現である。
 乳牛も7000キロを超えるようになると、低品質な粗飼料と濃厚飼料を加えたエネルギー量では追いつけなくなる。刈り遅れの乾草やロールなどの粗飼料では、エネルギーがなくNDFが高いから、食い込めない。もし、濃厚飼料でエネルギーを補おうとすると粗濃比のバランスが崩れ、更に乾物摂取量が落ちる。悪循環である。それより第一に、こんなバブルな飼養管理が可能な
高乳価・低穀物価格の時代は終わったと、我々は考えるべきだ。だから、まず自給飼料の質(エネルギー量)を上げることだ。デントコーンはもっと刈り取りを遅らせるか、早生にして乾物率を上げることだ。そうすると乳を出すエネルギー量が増え、食い込みも良くなる。牧草は、何といっても早く刈ることだ。そして、自給飼料の中身を分析して配合なり単味を買うことだ。自給飼料の足りない栄養分を補うのがいい濃厚飼料で、いい濃厚飼料そのものなどありえない。
 
7000キロを超える乳量になったら質の良いデントコーンを多給して、高タンパクのサプリメントでバランスを取る。デントコーンには繊維も半分ある。だから、超高泌乳牛でも濃厚飼料の追い込みが可能になる。
 来春のエサ戦略は、自給飼料、それもデントコーン。今からだ。

図B

濃厚飼料を1:1の比率以上に与えており、これ以上は食い込めない。だから
エネルギー不足になる。
図C

粗飼料から十分エネルギーを取っているから濃厚飼料も少なくて済み、高泌乳牛でも
エネルギー不足にならない。