エナジーコンセプトなら品種はパッケージで選べ!

■毎年大きく変動する北海道の気象条件
 去年は日照不足と低温がトウモロコシの生有に大きく影響した。最近は毎年のように異常気象の話題がマスコミで報じられるが、異常気象でなくとも、北海道の気象条件は毎年大きく変動しているのが現実なのである。
 サイレージ用トウモロコシの刈り取り適期は子実が黄熟に達し、乾物率が30%前後になる時だが、これは毎年の天候に大きく左右される。トウモロコシの生育に最も関係する積算温度(毎日の平均気温を積算した値)の違いを、十勝内陸で夏期の気温が高い帯広と海岸に近くやや冷涼な大樹で比較してみた(図1)。帯広と大樹では毎日の積算温度の差が約200℃ある。これは同じ品種を同じ日に播いても、帯広の方が約2週間早く収穫適期に達する事を示している。一方、積算温度は年によっても大きく違っている。
 平成5年と6年の積算温度の差は帯広も大樹も400℃以上あるが、これは同じ品種の収穫適期がこの2年間では同じ場所でも約一ケ月も違ったことを示している。平成5年と6年は記録的な冷夏と猛暑の年で、この数字は極端な例と思うかもしれないが、過去の気象データを見ても200℃程度の年格差はそれ程珍しいことではない。つまり
同じ品種を作っても、年によって優に二週間は収獲適期は前後するのだ。
■刈取時期でこんなに違うトウモロコシの質とその影響
 「刈り取り適期が多少違ったくらいで大きな影響があるのか。」と思う人もいるだろう。図2を見て欲しい。熟期が進むにつれてトウモロコシの澱粉割合は明らかに上昇し、ADFの値は低くなる。この場合5%の乾物率の違い(刈り取り時期にして10日程度の違い)は、乾物収1が同じと仮定しても澱粉収1では2割以上もの差になる。実際の飼料給与においてこの差は図3に示すように、全体の乾物摂取量が同じでも濃厚飼料(乳配十大豆粕)の給与量で実に3割近い差となって現れてくる。
 北海道の場合、特に冷夏の年には収穫適期前にトウモロコシが刈り取られ、これが大きな経済的損失を招いているのは明らかだ。収穫期は熟期だけでは決められないにせよ、毎年多大な労力とお金をかけて作るサイレージの質がいつまでもお天気次第でいいはずがない。
■品種の選定がサイレージの質を決める〜二つ以上のパッケージで選ぶ
 「安定した質といっても、冷夏に備えて極早生品種じや収量がないし、今年の天候まではわからないよ。」と考えている人も多いだろう。実際、これまで述べたように、北潅道の天候は年によって極めて振幅が大きく、一つの品種で毎年一定の品質のサイレージを作ることは、実はとても難しい事なのだ。そこで、品種は熟期の具なる二つ以上のパッケージ(組み合わせ)で選び、気象変動のリスクを回避して、より質の高いサイレージ作りを目指すことが最も賢明なやり方となるのだ。
 新発売のパイオニアの80日クラス、ノルダとノベタは80日の常識を覆す、高エネルギーでしかも乾物収量は従来の85−90日クラスに匹敵する高収量品種だ。これなら道内のトウモロコシ主要栽培地域でパッケージの核として利用できる。例えば雌穂収量が高く早熟のジャンナと
収量性抜群で80日でも全体の乾物率上昇は75日クラスに近いノルダの組み合わせは、冷涼な地域でもワンランク上の良質でかつ単位面積当たりの乾物収量が多い経済的なサイレージが確保できる。また90日クラスのディアに、子実割合が高く澱粉収量が極めて高いいエナジータイプのノベタを組み合わせれば、乾物収量性を損なわずにエネルギー濃度が高い高品質サイレージの安定生産が可能だ。
 よりパワーアップしたパイオニア品種の組み合わせで、天候に左右されにくい高品質サイレージ作りを是非今年から始めたい。

図1 積算温度の年次格差
トウモロコシ生育期間(5月〜9月)の積算温度


同じ場所でも積算温度は毎年異なり、
サイレージの質に大きな影響を与える。


図2 収穫時期による飼料品質の違い

数%の乾物率の差で澱粉、ADFの割合は大きく変化しサイレージの質を変える。


図3 トウモロコシサイレージを飽食
にしたときの飼料の組み合わせ


収穫適期前(乾物率25%)のサイレージは適期(乾物率30%)の物に比べて濃厚飼料の給与量が3割近く多くなる。


80日でも収量性はワンランク
上のノルダ

エネルギー収量が極めて
高い82日ノベタ