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■時代はエナジーコンセプト。
平成8年度は乳価の下落と飼料価格の上昇が激しかった。たった数円乳価が下がり、エサ代が上がっただけなのに、酪農家の手取りは、大きく低下してしまった。今年は、年始から円安が進みエサ代が急激に上がっている。状況はますます厳しくなりそうだ。
酪農経営において、現在の所得金額も重要だが、将来を考えると所得率はもっと重要な意味を持つ(図1参照)。買いエサ中心の経営は、乳価が高く、購入飼料が安ければ、大規模化によって多くの利益を得ることも可能だが、今のように状況が厳しくなると、極端に所得率が低下し、赤字経営にもなりかねない。
図1
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現在
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所得 |
750万円 |
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収入 |
3,000万円 |
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支出 |
750万円 |
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所得率 |
25% |
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収入10%減
⇒
支出10%増 |
近い将来
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所得 |
225万円 |
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収入 |
2,700万円 |
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支出 |
2,475万円 |
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所得率 |
8% |
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購入中心農家は、わずかな収入の減少と支出の増加で所得が確実に大きく減少してしまう。 |
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所得 |
750万円 |
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収入 |
1,500万円 |
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支出 |
750万円 |
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所得率 |
50% |
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収入10%減
⇒
支出30%減 |
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所得 |
825万円 |
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収入 |
1,350万円 |
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支出 |
525万円 |
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所得率 |
61% |
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デントコーン多給農家は乾草と濃厚飼料の購入量を減らすことによって、さらに経営効率を改善できる。今の乳価なら所得率70%は可能である。 |
一方、自給飼料中心の経営は、所得率が高いため、多少状況が悪くなっても急激に経営が悪化することはない。また、もっと自給率を上げ、その質も同時に高めれば、乳牛の生産性を最大に引き出すことができ、このような状況でも所得金額と所得率を向上させることは、十分可能なのだ。ところが、多くの酪農家の飼料畑は限られている。したがって収量の確保と同時に濃厚飼料や乾草といった買いエサを減らせる、センイとエネルギーが一杯のデントコーンを作るのが、最も有利な戦略なのだ。
■理想はトウモロコシサイレージの飽食。フランスでは40〜50キロだ。
今までに幾度となくトウモロコシサイレージの優位性を述べてきた。それでも、どうしてもトウモロコシの多給に踏み切れない酪農家が多いようだ。それは、かつて多発した第四胃変位や、過肥などの疾病を心配してというのが大きな原因だろう。しかし実際に、多くの酪農家がトウモロコシサイレージを多給しているフランスでは、これらはほとんど起こっていない。
日本で時折見られる飼料設計での大きな誤りは、飼料全体の中で濃厚飼料を中心に考え、粗飼料は反芻を刺激するだけのものと位置付けてしまうことだ。これでは、エネルギーの高いトウモロコシサイレージを多給すれば、バランスが崩れ、疾病が多発するのも無理はない。フランスなどのように、良質なトウモロコシサイレージを目一杯食わせ、少量の濃度の濃い(CP40%以上)タンパクサプリメントでバランスをとるという粗飼料中心の考え方とは全く異なるものだ。濃厚飼料は、あくまで粗飼料で足りないものを補足するものであり、濃厚飼料に合わせられる自給飼料は最初から無いのだ。
■サイレージの品質を高めてもっと多給しよう。
サイレージの品質というと発酵品質のみを考えがちだが、実際には作物が持つ栄養成分の方がより重要であり、その両方が同時に満たされて高品質といえる。
トウモロコシの多給をしている欧米酪農家のサイレージの品質は、一般に日本より格段に良い。発酵品質は当然だが、栽培管理が優れている。飼料価値が最高なのだ。トウモロコシの飼料価値を判析する上で、乾物率にもっと気を使うべきだ。
なぜなら、トウモロコシは、受粉後、子実が登熟するにしたがって、乾物率が増加していく。つまり乾物率が高いほど、デンプンの含量が多く、産乳効果が高いということだ。
また、フランス国立農業試験場(INRA)などが指導するように、乾物率の低いトウモロコシサイレージを乳牛に給与すると、その摂取量は大きく低下する(図2参照)。つまり、水分の多いサイレージば、産乳効果が低く、食い込めないことを意味するのである。トウモロコシを多給するためには、今よりも乾物率が高くなる早生品種を選ぶことを考えたら良い。つまり、収獲期には確実に黄熟期になるものだ。実際には、見た目の収量から晩生の品種を選びがちだが、水分ぱかりで食い込めず、産乳効果が低い。
コーンサイレージで自給飼料を増やして行けば、自由化や乳価の引き下げもコワクないのだ。 |
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図2 トウモロコシサイレージの乾物率と乳牛の乾物摂取量の関係 |
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乳
牛
の
乾
物
摂
取
量
s
/
日 |
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10.5
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11.5
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13.0
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15.5
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20 |
25 |
30 |
35 |
トウモロコシサイレージの乾物率(%)
(INRA1988) |
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