超シンプル・エサ設計は儲かる、楽チン酪農だ。

■エサをムズカシクしているのは誰か。
 エサ設計はエサの専門家や獣医さんでないと解らないと思っている人は多い。エサと乳量、繁殖の因果関係が解らないから、訳の解らない飼料を不必要に買ってしまっている酪農家は多い。問題があるたびにエサを変え、高いモノに手を出して、購入飼料代がかさみ所得を落としている。畑を広げず、増頭しても配合飼料の比率が高くなるばかりで繁殖障害を起こす例が多発している。
 
結局、増頭しても総所得は増えず、労多くして益なしの状態が続く。それに対極をなすのがデントコーン中心のシンプルエサ設計で、エナジーコンセプトを実践している農家は所得も多い、


フランス酪農を実践している城下さん御夫妻

そして又、楽チン経営でもあるのだ。
 先月号の栃木県の町井牧場に続いて、熊本県菊池郡大津町の城下孝文さんを紹介しよう。 飼料規模は搾乳牛15頭(平均乳量7,500キロ)、乾乳牛3頭、育成牛12頭、合計30頭である。小規模経営だが、高所得である。実に頭がよい。エサの専門家が来て、こんな飼い方すればつぶれると言われたが、頭デッカチに何がワカルかと、このやり方で30年やっている。理由は楽で儲かるからやめられないのだ。
■誰でもできるフランス酪農。
 城下さんの基本はデントコーンを徹底的に給与すると言うもの。濃厚飼料は乳配6キロにビタミン、ミネラル、それにイタリアンか雑草の青刈り約15キロだけ(表1参照)。これで乳脂率は4%を下回った事はないし、繁殖障害もなし。第四胃変位も今まで一頭だけ手術したのみと言う。
 
先月号の町井牧場のデントコーン飽食の例といい、城下さんのケースを実際に見てみて3つのことが言えると思う。つまり・・・、
@飼料畑の大きさに制限のある日本は、フランス酪農のやり方をまねるべきと主張して来たが、デントコーンの飽食というフランス酪農は日本でも十分、可能である。8,000キロ程度の乳量なら高い濃厚飼料は今の農家のレベルの半分で済む。

〔表1〕 基本的なエサの組み立て
飼料 日給与量 給与回数
デントコーンサイレージ 40〜50s 3回
イタリアン青刈り 約15s 1回(イタリアン無ければ雑草の青刈り)
乳配 平均6.0s 3回(高泌乳7.5s〜低泌乳5.8sで調整)

※ややタンパク不足かもしれない。ダイズかすなどを少量加えてバランスをとると、もっと乳が出る可能性がある。

Aエサの設計は何も難しくない。多くの場合、エサ設計メニューを複雑にして、余計な購入飼料を買っているようだ。デントコーンの量に合わせて、タンパク、ミネラル、ビタミンを買えばよい。要はバランス。
Bデントコーンサイレージの質が、フランスのようにあれ程いいものでないと40〜45キロも食い込ませられないと思っていたが、意外にそうでもないことがわかった。逆に言うと、質(水分や子実割合を上げる)がよくなれば、もっと食い込めるだろうということ。
■エサ給与も入れて二時間労働の余裕。
 城下さんがデントコーンにこだわるもうひとつの理由は「牧草のように何回も収穫しなくても一回の作業で大量収穫でき、収量が多い。何と言ってもデントコーンは多給できる。つまり、購入飼料費が安い」という点だ。収穫を見ても実に合理的だ。年間約11へクタール以上もコーンを収獲するが、一条刈りのハーベスターとワゴンを利用し、ぼぼ一人でやる。このため、畑の周囲は手刈りしなくてもいいように、あらかじめ枕部分の四条と横の三条を播種していない。朝夕の搾乳時間は30分以下、エサの給与も含めれば、それぞれ一時間で終了。忙しいのはデントコーンの収穫時期だけ。頭数を増やして牛に追い回ざれている経営とはエライ違いである。城下さんのように、飼料畑の大きさを考えて頭数と所得を考える。それが底コスト、低乳価の時代を生きる未来戦略だ。


デントコーンの上に乳配をふりかけ3回給与