利は自給飼料にあり!〜エナジーコンセプトは未来戦略だ〜

 この10年聞で、例えば北海道全休の乳牛飼養頭数は、一割以上増加しているが、自給飼料面積はこれに見合って伸びていない。乳牛管理に追われて自給飼料が追いつかないのだ。しかし、実際に儲けて所得を上げている、あるいはウルグアイラウンド以降をにらんだ経営を指向する酪農家は、自給飼料の量と質をアップすることにカをますます注いでいる。乳牛が最も量的に必要とするのは、エネルギーである。繊維を合めたエネルギーの質・量を追求するのがデントコーンサイレージによるエナジーコンセプトだ。コーンサイレージを経営の最重要ポイントにしている北海道静居村の高橋農場を紹介したい。


コーンサイレージ多給を実践する北海道の高橋文雄さん。

■乳を出すならデントコーンだ。
 鶴居村が位置する北海道東部の根釧地方は、土壌条件や冷涼な気象条件から一般的には草地を主体とした酪農が営まれている。しかし、高橋さんは早くからトウモロコシにこだわり、コーンサイレージ主体の給与に取り組んできた。それは難しい理屈からではない。「デントコーンをやったら乳が出た」という高橋さんの過去の経験と、グラスサイレージでは天候によって品質が大きく変わるという観察事実に基づいている。
 昔から大きく変わらないというエサのメニユーを表に示したが、その内容はとてもシンプルである。
〔高橋農場の基本的なエサの組み立て〕

飼料

日給与量
コーンサイレージ 35〜45s(放牧時は20s)
ビートパルプ 3s
大麦圧ぺん 1s
乳配 8s

※日乳量40s以上の場合
※舎外でロールを若干量与えている

 夏期は放牧を行なうためコーンサイレージの給与畳を20sまで滅らすが、それ以外は一年中ほとんど変わらない。
現在の飼養頭数は経産牛90頭、育成牛80頭で、平均乳量ば9,000sである。
 
「現在の乳量を維持していくためには、コーンサイレージ主体の給与以外は考えられない」と、高橋さんのコーンサイレージヘの信頼は厚い。今後も98haという恵まれた土地面積を活かして、放牧を組み入れたデントコーン主体の経営を続けたとのことである。
■コーンサイレージの質・量を高めたマルチ栽培。
 
コーンサイレージ多給によるエナジーコンセプトの実現には、良質なサイレージを十分な量確保することが、何よりも重要だ。高橋牧場では、現在16haのトウモロコシを全てマルチ栽培で行なっている。高橋さんは10年ほど前に初めて試験的にマルチ栽培を試みたが、その増収効果に目を見張り、年々マルチの面積を増やし続けてきた。
 高橋さんが挙げるマルチ栽培の効果の第一は、収量増加である。平均して3割は増加したという収量によって、夏期にもコーンサイレージの安定給与が可能になったからだ。そして第二はコーンサイレージの質の安定だ。元来鶴居村は北海道でもやや冷涼な地帯に属し、年によってはトウモロコシに実が入らないことすらあった。これはサイレージの質、ひいては乳量に大きく影響していたが、マルチの導入は毎年確実に実が入るトウモロコシ栽培を可能にした。高橋さん自身、確実な実の登熟を以前よりも重視するようになり、かつては暖地で90日クラスの品種を栽培していたが、現在ではマルチで80日クラスの品種を栽培している。


サイレージの質・量の安定にはマルチ栽培
が大きく貢献。

■工ナジ‐コンセプトの実践ヘ、あなたの方法論は?
 コーンサイレージ主体の経営事例に共通するのは、シンプルなエサ設計による飼料給与の簡便性と購入飼料費を抑えることによる経済性、そしてコーンサイレージ多給による弊害はまるで見られないという事実だ。我々は、コーンサイレージの優位性をこれまで繰り返し指摘してきたが、事実はこれを証明している。エナジーコンセプトによるコーンサイレージ多給の経営こそ、来たるべき時代に対応する粗飼料戦略の王道だ。冒頭に挙げたように
多頭化が急ビッチで進む中、これからデントコーンをいかに増産していくか、その方法論こそを、個々の酪農家が今真剣に考える時ではないか。