デントコーン イエローエネルギーとグリーンエネルギーって何だ?

コーンサイレージは粗飼料でありながら多くの子実を含む。コーンサイレージ研究の先進国欧米では最近、このトウモロコシの持つ特性からエネルギー源を二つに分け、品種を評価している。その一つはイエローエネルギーと呼ばれ、子実に由来する。これは、第一胃で急速に発酵し濃厚飼料的特性を持つ。もう一つがグリーンエネルギーで、茎葉に由来し、緩やかに発酵して粗飼料としての特性を持つ。
 従来から我が国でも雌穂(子実ではない)と茎葉に分けられていたが、それぞれの持つ栄養的な価値が乳量との関係において明確にされていなかったため、現実には単にガサ収量の高い品種が選ぱれる傾向が強かった。
 これからの品種の選択には生草取量や乾物収量と同様、どれだけ乳を出すエネルギーがサイレージに詰まっているかを知ることが重要だ。つまり、品種の選択がダイレクトに収益に影響するのだ。

■イエロー部分はエネルギー8割増。
 乳牛にデントコーンを給与すると、
イエロー部分は乾物一キロ当たり2.04メガカロリーの産乳エネルギー(NEL)があるのに対し、グリーン部分は1.10メガカロリーしかない。つまりイエローエネルギーはグリーンエネルギーと比較すると、8割増しのパワーなのだ。表1はトウモロコシの構成要素を示したものだが、品種の選択しだいでイエローエネルギーの元となる子実の割合が20%から50%と大きく異なる。
〔表1〕トウモロコシの構成
構成要素 乾物割合% エネルギーの種類
子実 20〜50 イエロー
雌穂の芯 6〜10 グリーン
雌穂の皮 6〜8 グリーン
17〜40 グリーン
15〜25 グリーン


ディアHT

子実は重要なデントコーンのエネルギーのもと。不稔や小さい雌穂では乳はでない。

同じ乾物収量でも、子実が少ない品種は乳が出ないのはこのためだ。また、茎葉割合が高くなると、当然総センイ(NDF)が増え、エサの食い込みが悪くなる。
 カンタンな例を示そう。図1に示したように、他社A品種はセシリアと比較すると生草収量は勝るものの、乾物収量は同じだ。同じ乾物収量なら乳量は同じか?イエローエネルギーとグリーンエネルギーを見てみよう。セシリアはパワーある子実が700キロに対し、A品種は半分の350キロしかない。このため、A品種は茎葉は多いものの、産乳エネルギーでみると、イエロー部分の多いセシリアの方が約15%も高くなる(図2)。見かけじやない、中身だ。
■乳量を推定しよう。
 酪農家の興味は、産乳エネルギーにある訳ではない。もっと分かりやすくするため、これを乳量に換算してみよう。乳牛は、4%の乳脂率の乳を1キロ生産するのに0.74メガカロリー必要とする。乳産エネルギーは、全てが乳の生産に利用される訳でなく、一部が維持に利用される。ちなみに、体重700キロで1日当たり15キロしか乳を出さない牛は、50%しか乳の生産に利用されないが、30キロの乳量で67%の利用効率となる。
 この30キロ生産する乳牛で、セシリアと他社A品種の産乳エネルギーがどれだけの乳量に相当するか換算してみよう。結果は図3に示したように、セシリアの産乳エネルギーは2,239キロの乳量に相当し、A品種は1,941キロの乳量となる。つまり、A品種はセシリアと乾物収量では同じだったが、乳量では298キロも低くなってしまうのだ。
乳価1キロを90円とすれば10アールで約2.7万円も少ない。1ヘクタールでは、なんと27万円の差だ。この中身の差は大きい。
 「面積が少ないから、少しでも多く取れる品種が欲しい」という声をよく聞く。しかし、これまで述べてきたように、イエローエネルギーが少ない品種では、いくら収量が多くても乳が出ないし、買エサが増えるのだ。茎葉型トウモロコシなどといっている人がいるが、賢明な皆さんはもうお分りだろう。茎葉型なんて結局乳が出ないし、濃厚飼料の給与量が増え、コストアップになることを。

図1 乾物収量とその構成

図2 産乳エネルギーとその構成

図3 品種と乳量