コーン多給にはエネルギーとタンパクのマッチングを考えよう!

■バランスが一番大事!
 泌乳牛は、飼料として摂取したエネルギー源(炭水化物)やタンパク源を体の維持や、時には体重の増加などに使い、その一方で、乳を生産するためにも使う。乳牛の成分である乳脂肪、乳タンパク、乳糖などは、飼料として牛が摂取した炭水化物やタンパクをルーメン内で微生物が利用することによって生産される。したがって、乳生産を最大にするためには、ルーメン微生物が最も活発に活動できる環境を常に整えてやることが必要条件なのだ。
 そのために最も重要なことは、乾物摂取量を最大にすることであるが、同様に重要なことは、
ルーメンにエネルギーとタンパクがバランスよく供給され、かつ、その分解スビードがマッチング(同期化)し、連続的に発酵が行われることだ。
■トウモロコシは刈り取り時期で飼料成分が変化する!
 トウモロコシサイレージを供給する場合には、生育に伴って飼料成分が大きく変化することに注意しなければならない。
 日本標準飼料成分表(中央畜産会1995)を見ると、トウモロコシの生育ステージに伴う飼料成分の変動が小さいため、いつ刈り取っても飼料成分は、ほぼ一定であるかのような誤解をしてしまう。ところが、NRC飼養標準(1988)ではTDNよりも、産乳性をより正確に評価できるとされる
NEL(産乳の正味エネルギー)の値が、未熟なものよりも黄熟期のものの方が明らかに高い。つまり、多くの酪農家が自分の経験から理解しているように黄熟期で収獲されたトウモロコシの方が、未熟なものに比べて「乳が出る」ことを裏付けている。だから、早刈りや、登熟しないような晩生品種は、ダメなのだ。

トウモロコシサイレージの生育に
伴う飼料成分の変化
生育ステージ エネルギー
(糖+デンプン)
タンパク
CP DIP SIP UIP
乳熟
糊熟
黄熟


一定






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 トウモロコシは茎葉部分だけをみると、牧草と同様に生育にしたがって、エネルギーやタンパクは減少し、繊維は増加していく。一方、子実部は受粉後、生育につれて子実が充実してゆき、その中に産乳効果の高いエネルギーをデンプンとして大量に蓄積してゆく。そして結果的に、適期の黄熟期で収穫することによって、茎葉の飼料価値の低下を補って余りあるほどエネルギーが高く、産乳価値の高いサイレージとなるのだ。
 また、トウモロコシサイレージのタンバク含量は、生育ステージに関わらず、粗タンパク質で9%前後と牧草に比べてやや低いが、収量が牧草に比べて格段に多いため、単位面積からのタンパク生産量は思いのほか多い。つまり、ヘたなグラスよりタンパクの絶対量が多いのだ。さらに、子実中のタンパクの65%が、付加価値の高いバイパスタンパクだ!
■ル‐メンでの分解スピードのマッチングをする!
ルーメン発酵を効率的に行なうためには、ルーメンに必要量のエネルギーとタンパクが連続的に送り込まれる必要がある。もし、バランスが悪い場合には、過剰な方が無駄になり、経済的なロスが発生するだけでなく、場合によっては過肥や第四胃変位などの疾病の原因にもなる。
しかし、バランスが取れていて、繊維も十分充たされていれば、トウモロコシサイレージを乾物で13キロ以上摂取しても、全く問題はない。
 

■タンパクのルーメンでの分解スピード■
タンパク
CP(%)
素早く分解
するタンパク
SlP
(CP中%)
ゆっくり分解
するタンパク
DlP‐SlP
(CP中%)
トウモロコシサイレージ 9 30 40
アルファルファ乾草 22 20 52
イネ科乾草 10 20 43
イネ科サイレージ 10 40-55 15-40
大麦 13 35 44
トウモロコシ 10 12 23
エン麦 13 31 49
小麦 12 23 57
ビートパルプ 10 5 65
大豆粕 49 20 52

 バランスをとるためには、まず飼料成分や飼料ごとに異なるエネルギーとタンパクの分解スピードをよく把握することが必要である。また、炭水化物は摂取後2〜4時間後に、タンパク源は1〜2時間後に分解のビークに達するため、炭水化物を先に給与するなど、給与の順番も考慮しなければならない。ところが、エネルギーとタンパクを同期化することは、飼料の種類、量、環境などのさまざまな要因が関与してくるため、なかなか理論通りにはいかない。実際には、乳量、乳成分、糞の状態、毛づや、足の状態などをよく観察し、分解スピードの異なる飼料を使って調整してゆくのが現実的であろう。

炭水化物のルーメンでの分解スピードの概略

※トウモロコシサイレージは、茎葉と子実が混ざっているため、分解がバランス良く長時間になる。
※穀物は、加工されると分解時間が速くなる。
(コーネル大学)