全国農家で実証済み
3358の後継品種32K61鮮烈デビュー!

 97年に実規模レベルの品種選抜試験(ストリップテスト)を350品種実施した。うち50品種は、今春3358の後継品種としてデビューするパイオニア122日「32K61」であった。昨年の調査では多くの32K61が、乾物収量10アール当たり2,OOOキロを越す結果となっている。32K61は他を圧倒する収量と草丈を誇るが、耐倒伏性も極めて強い。昨年9月中旬、台風20号の余波により栃木県では風速20メートルを越す北からの強風に見舞われ、全面倒伏した圃場も見られた。試験圃場近隣の畑も同様に倒伏したが、32K61に至っては倒伏や切損の発生はなかった。
 そこで今回は、先月に引き続き家畜生産性を考慮した厳しい品種選抜試験を堂々クリアした注目の新品種「32K61」を紹介しよう。

■産乳価値が決め手の32K61

図1 NIR120品種の平均

1997ストリップテストNIR結果
岩手〜熊本(120品種)
 図1は、昨年サンプリングしたデントコーン120品種のNIR分析(近赤外線分析法)の結果である。生育ステージの進行(乾物率の増加)とともに乾物摂取量の指標でもあるNDF(センイ濃度)が低下し、産乳効果が高く消化スピードの速いNFCに代表されるデンプン含量が高まっていく傾向を示している。
 つまり32K61の収穫適期は、黄熟期が栄養的にも収量的にもベストであるといえる。決して黄熟期に達する前の若刈りや、熟期に達しない晩生のデントコーン、あるいはやたら茎や葉っぱが多く子実収量の低い品種では、NDFと水分が高いため食い込みが上がらず、デンプンレベルが低く産乳価値の低いコーンサイレージにしかならないのである。
 その点32K61は、3358より相対熟度が3日も早い122日の品種である。正味エネルギー(NEL)の高い32K61は3358より13%アップの乳量が期待でき、乾物収量も10%アップだ。


■低い栽植密度が問題だ。

図2 1997年品種選抜試験
(福島〜岐阜)


栽植密度が低ければ乾物収量は激減だ
 高泌乳牛のエネルギー供給に最適な期待の新品種32K61を、質を高めたままより多く確保するためには、栽植密度が重要である。昨年の試験結果から10アール当たり8,800〜3,800本と、個々の酪農家によって栽植密度が大きくバラック(図2)。これだけのパフォーマンスを持った品種も、10アール当たり4,000本以下の栽植密度ではあまりにも損だ。同じ面積からより多くの収量を得るには、プランターの播種粒数の設定がポイントになる。一般的に栽植密度が低下する要因として、鳥害、種子サイズを無視した播種板の使用、整地不良あるいは播種速度が速すぎるなどの理由が考えられる。しかし現実には、各農家のウネ幅のブレがあまりに大きいことによる低密度栽培、しいては乾物収量の大幅な低下につながっている事例が多い。

つまり75センチに設定したプランターでも、隣のウネを走行する際には1メートル以上離れたところに播種するため、10アール、当たりの栽植密度が極端に減少している。
 32K61の特性を最大限に引き出すためには、10アール当たり7,000〜7,200本の設定で、確実に10アール当たり6,500本以上の密度を維持することが必要だ。また播種時期は、4〜5月上旬播種で8月末〜9月上旬収穫で乾物率30%を越す結果となっている。

■エルニーニョには早生品種
乳生産アップにはパイオニア品種だ!  今年の様に、エルニーニョが発生している年度の気象予測は極めて困難だ。ただ統計的には日本では長梅雨、冷夏になる確立が高いとされている。このことはデントコーンの生育が通常年より遅れることを示唆している。パイオニア122日32K61は、3358より熟期が3日も短いので生育ステージの進行が早く、乳牛の乾物摂取量を高めるサイレージ作りにはもってこいだ。


115日品種 セシリア

122日品種 32K61
今春は早播きを励行し、家畜生産性とエルニーニョによる異常気象も加味しながらバーバラ、3699、セシリア、32K61のパイオニア品種で質の高いコーンサイレージを調製することが得策だ。