コーンサイレージは中身が勝負!
〜安定生産のための品種選抜と栽培のポイント〜子実はデントコーンサイレージの最も重要なエネルギー源だ(全エネルギーの約3分の2)。コーンサイレージのの飼料品質は、子実含量の差で決定されると言っても過言ではない。子実が少ないサイレージは産乳エネルギーが低く、その不足分を購入飼料で補うには大量の濃厚飼料が必要で、経済的な損失は計り知れない。トウモロコシ栽培では、如何に多くの子実を畑からサイロに詰め込めるかが最大のポイントだ。そして子実収量をより高める鍵は、第一に品種選定である。
■確実に黄熟期に達する品種を選ぶ。
図1 収穫時期による子実割合の変化
子実割合は生育ステージが進むと
急上昇する。
収穫適期(黄熟期=乾物率30〜35%)
の刈取りが極めて重要だ。子実収量が高い品種というと「そりやあやっぱり、晩生(おくて)で俵(たわら)の大きな品種じゃないかい」と、考える人がいるかもしれない。確かに晩生品種は早生品種に比べて雌穂が大きく、実の収量も高い。だがこれは、確実に収穫適期に達した場合のことだ。トウモロコシ乾物中の子実割合は、生育ステージで大きく変化する(図1)。
登熟が進んでいないトウモロコシは、どんなに見た目の雌穂が大きくても、子実割合、子実収量とも確実に低い。どんな品種であれ、最大の子実収量を得るには、刈り取り期に黄熟期に達していることが最低の条件となる。つまり、その土地で毎年確実に実が入る品種こそ、子実収量が最も高く安定している品種なのだ。
例えば、気象条件の厳しい道東地方の沿岸や山麓地帯では、雌穂割合が高くて、しかも収量性にも優れた75日クラス新品種セミラや80日クラスのノルダのように、初期生育が極めて良く、冷害年でも安定した生育と豊熟が得られる
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乾物収量も栄養性も高い75日クラス新品種セミラ 早生品種が85日クラスを栽培するより安定して、高い子実収量が確保できる。
■子実割合とエネルギー収量の高い品種を選ぶ!
図2 乾物収量・産乳エネルギー(NEL)・
デンプン割合の比較
乾物収量が変わらなくても中身が違えば
エネルギー収量が違う子実割合は、サイレージのエネルギー価を決定する。そして経済性を加味するならばエネルギー収量、すなわち単位面積当たりの子実収量の高い品種を選ぶべきだ。パイオニアの82日クラス品種ノベタと新発売の95日クラス品種クラリカは、栄養収量に特に優れた品種だが、そのパフォーマンスの違いを図2に示した。
ノベタ、クラリカはともに雌穂割合が極めて高い品種で、その違いがデンプン割合の差となり、単位面積当たりでは乾物収量の差を上回る産乳エネルギーの差となる。この差は、乳量に換算すれば違いがより明らかだ。
クラリカと対照品種では、乳量にして10アール当たり275キロ、つまり1キロ72円の乳価で計算すればヘクタール当たりで、実に約20万円の経済性の違いがある。
ここで気をつけて欲しいのは、子実割合は確かに高いのだが、乾物収量は逆に低い品種の存在だ。こうした品種は雌穂も一見大きく、高栄養品種と思って飛び付きたくなるが、収穫を終えた時に収量の低さにがっかりすることになる。この点でノベタ、クラリカは乾物収量が高いのに、なおかつ栄養収量も高いという従来にない優れたタイプの新品種なのである。
■中身が肝心!見かけで品種を選ばない。
先端までしっかり実が入ることが
子実収量を高める品種の必須条件だ!
不稔の多い品種は、雌穂が大きくとも子実収量は不安定。子実収量が高い品種=雌穂の大きな品種と考えがちだが、これは必ずしも正解とは言えない。子実収量と雌穂収量は別と考えておいたほうがより正しいだろう。俵(たわら)が大きくかつ粒が大きく深い、ディープカーネルと呼ばれるタイプの品種が、最も理想的な品種といえる。雌穂は大きいが不稔が著しいような品種は見掛けだけの品種だ。先端までしっかり実が入ることも重要な品種の特性なのだ。 この違いは畑に入り、雌穂を開き一粒一粒をよく観察すれば一目瞭然である。新しいパイオニア品種は、見掛けだけではない、中身が違う。是非、今年はその違いをあなたの畑で確かめていただきたい。