子実の多いコーンサイレージはなぜ、
乳がよく出るのか

 コーンサイレージの給与量が現物で10キロ未満だと、エサ全体(乾物中)に占める割合はおおむね15%以下となる。このため、サイレージの質が産乳に及ぼす影響を実感することは難しい。他のエサの効果が大きいからだ。しかし、その給与量が15キロから20キロを超えてくると、子実の多いサイレージを与えると乳がよく出るが、逆に少ないと乳が出ないことを多くの酪農家は経験的に知っている。なぜ、子実が乳量に大きな影響を与えるのであろうか。
 限られた面積からより多くの乳を生産するには、デントコーンの収量もさることながら乳量に大きな影響を与える質を考えることも極めて重要だ。

■子実に重点を置いた品種選択

【表1】子実割合が産乳エネルギー(NEL)に与える影響

子実茎葉割合

乾物収量
(kg/10a)

NEL
(Mcal/kg)

NEL
(Mcal/10a)

期待乳量
(kg/10a)

50:50

1500

1.57

2355

2228

40:60

1500

1.48

2214

2100

30:70

1500

1.38

2037

1958



子実が一杯詰まっている
乾物率30%のコーンサイレージ。
高エネルギーでしかも抜群の
食い込み。だから儲かる。
 デントコーンの子実の産乳エネルギーは乾物1キロ当り2.04メガカロリーあるのに対し、茎葉では、1.10メガカロリーしかない。つまり子実のエネルギーは茎葉と比較すると約85%も高いのだ。現在市販されているデントコーン品種の子実割合はおおむね30%から50%の範囲にある。表1に示したように、同じ乾物収量でも子実割合が50%の品種は30%の品種と比較すると10アール当り270キロも多くの乳を生産することができるのだ。1キロ当りの乳価を90円とすると、この差は10アール当りで2.4万円もの差になる。つまり、同じサイレージの量を給与しても子実が少なければ乳が出ないし、ましてや茎葉型といわれるような品種が結局儲からないのはこのためだ。

 デントコーンの子実割合は各品種の遺伝的特性によって大きく左右される。パイオニアでは品種の選抜に当り、単にガサ収量だけでなく、多くの品種の粗飼料分析(NIR分析)を通して産乳性の検討を行っている。99年の新品種「33G26(118日)」、「35G86(110日)」、「36A43(105日)」は、いずれも厳しい選抜試験から選ばれたもので、産乳エネルギーだけでなくその他の特性も優れており、いずれも高い産乳が期待される品種だ。

■乾物率30%から35%で収穫を
 コーンサイレージの産乳エネルギーはおおむね収穫時の乾物率30%から35%で最大となる。しかし、現状では残念ながら多くのサイレージが乾物率25%程度で収穫されている。この時期のトウモロコシは、重要なエネルギー源である子実へのデンプンの蓄積が十分に進んでいないため、見かけのガサはあってもまだエネルギーは低い。もしこれを
30%から35%で収穫すれば詰め込んだサイレージに非常に多くの子実が見られるようになり、表2に示したように産乳エネルギーは確実に20%も上げることができるのだ。

■短く切断し、ガンガン踏圧


バンカーサイロに短く切断したトウウモロコシを詰め、ガンガン踏むことが重要
 サイレージの詰め込みにおいても守るべき原則がある。
@9ミリから12ミリ程度に短くスパッと切断する
Aトラクタ等でガンガン踏圧し、貯蔵密度を上げる

ことだ。これにはバンカーサイロに勝るものはない。これらはいずれも良質な発酵を促すだけでなく、開封後の二次発酵に大きく影響する。
 せいぜい足でしか踏むことができない角型サイロに乾物率が30%を超えたトウモロコシを詰め込むと一立方米当りの密度は250キロ程度しかない。まるでサイレージがふわふわとしたワタのような状態だ。このため一度サイロを開封すると一気に空気が侵入しサイロ全体が二次発酵を起こす。

一方、短く切断した材料をバンカーサイロに詰め込み、十分な踏圧をかけるとガチガチとなり、一立方米当りの重量が3倍以上の750キロにもなる。こうなると少々のことでは二次発酵が起こらなくなり、廃棄量は激減する。給与の作業性においてもバンカーサイロに勝るサイロはない。