濃厚飼料のやりすぎじゃないの?

【図1】

※飼料中のNDF濃度が低いのは、濃厚飼料の
給与比率が高く、その逆は、粗飼料の給与比率
が高いことを意味している。
 「トウモロコシは、子実を充実させて黄熟中〜後期に収穫すれば、乾物収量も最大になるし、エネルギー(TDN)濃度も最大となり、栄養管理上も最も効率的だ」というのがテキストの話だ。
 でも、「糞中にサイレージの子実が出るから…」という理由で「私のところでは、飼料の効率を考えて、推奨されている収穫時期より、少し早めに収穫しているんだ」という酪農家が多いのも事実。
 でも、それは「濃厚飼料のやり過ぎじゃないの…」と考えられないだろうか。
 ある所で「良い粗飼料をとった時でも悪い粗飼料をとった時でも乳飼比が高い酪農家は高いままだし、

低い酪農家は低い…」ということも聞くことがある。
 でも、それは「粗飼料の品質に合わせて濃厚飼料を変えていないからじゃないの…」と考えられないだろうか。
 NRCの説明でも、図1のように濃厚飼料の給与量が過剰になると飼料全体の摂取量が低下し、かつ、乳牛が得られる栄養総量も低下すると述べている。その結果、乳量も低下する。

■濃厚飼料の給与量調整は.こうしてみたら…


トウモロコシサイレージ
の飼料特性を最大限に
引き出してコスト低減と
乳量アップだ。
 トウモロコシサイレージの飼料特性を最大限に引き出すために濃厚飼料の給与量の調整を糞中の子実を目安にして次のようにしている人がいる。
●大豆粕を1キロ増やす。
●給与している乳配をニキロ減らす。
そうすると、濃厚飼料の摂取量が全体で1キロ低下し、粗飼料全体(特にトウモロコシサイレージ)の乾物摂取量が1キロ増加する。しかも、産乳量は増加するのだ。
 給与実験をしてみたら、表1のような結果になった。
 ここで面白いのは、摂取量から栄養の量や濃度を計算すると、糞中に子実が多い場合も、少ない場合もほとんど同じ結果となるということなのだ。

 

糞中子実が多い時

糞中子実が少ない時

飼料

乾物摂取量(kg)

比率(%)

乾物摂取量(kg)

比率(%)

トウモロコシ
サイレージ

12.9

53.6

14.0

57.3

大豆粕

3.6

14.8

4.5

18.3

乳配(18号)

7.4

30.8

5.8

23.6

リンカル(5号)

0.2

0.8

0.2

0.8

合計

24.1

 

24.4

  

栄養成分

摂取量(kg)

比率(%)

摂取量(kg)

比率(%)

TDN

17.5

72.9

17.7

72.5

CP

4.3

17.8

4.4

18.2

NDF

7.7

32.2

8.0

32.6

ADF

4.3

17.9

4.5

18.5

Ca

0.1

0.6

0.1

0.6

P

0.1

0.4

0.1

0.4

Mg

0.1

0.2

0.1

0.2

F-TDN/T-TDN

48.9%

 

52.6%

 


しかも、どちらもほぼNRCの推奨値に近い。すなわち「うまくいっている(糞中に子実が出ない)時」も「うまくいっていない(糞中に子実が出ている)時」も飼料計算上の数字では、ほとんど差がないのである。しかし、生乳1キロ当たりの生産コストは低下し、かつ、生産量も増加するという結果になったのだ。
 自給粗飼料を最大限に活かして効率よく、しかも安価に生乳生産をするためには、良質な自給飼料を得るとともに、その特長を生かすための濃厚飼料のバランスと給与量にも配慮しなければならないということが結論である。
 もし、トウモロコシサイレージを給与していて、糞中に子実が大量に出ているなら、刈り取り時期が遅れたと思うより、あなたの給与メニューを再検討することを勧める。
 もしかしたら、濃厚飼料の給与量の過剰で、あなたの乳牛が粗飼料を十分摂取できないという状態に陥っていないかどうかを…。ぜひご一考あれ!
 そして、品種選定においては、確実に黄熟期に至る品種を選ぶことをお勧めする。

トウモロコシサイレージは、刈り取りステージによって飼料価値が異なる。濃厚飼料で調製して全体のバランスをとろう。