土壌処理と生育処理
−薬害をふせぎながら除草剤の効果を高める
ために知っておきたい違い−
 除草剤による雑草処理はトウモロコシ栽培には欠かせないものだ。しかし除草剤はその使い方を誤ると、期待した効果が得られないばかりか、薬害を生じて思わぬ減収 を招くことすらある。今回は薬害を防ぎながら、除草剤をより効果的に使用するためのテクニックをまとめてみた。

■土壌処理と生育処理−雑草が多ければ土壌処理が基本。
 トウモロコシの除草剤には発芽前に処理する土壌処理剤と発芽後に処理する生育処理剤がある。土壌処理と生育処理ではどちらが良いのかという質問をよく受けるが、これは発生する雑草の種類や量によっても異なるので一概にどちらが良いと言うことは難しい。
 一般に、土壌処理の利点は、特に雑草の多い畑で雑草の初期生育を押さえ、トウモロコシと雑草との早くからの競合を防ぐ点だ。土壌処理は降雨によって効果に差がでやすいために、効果が低い年には「土壌処理は効かない」と考えがちだが、程度の差はあれ
土壌処理により初期の雑草の発生が押さえられるので、特に雑草発生の多い畑の場合には、結果的には安定した雑草のコ・ントロールができる。仮に土壌処理の効果が不十分でも、その後に生育処理剤を比較的低濃度で用いるオプションも可能だからだ。
 一方、生育処理は雑草の生育を見てから散布できるために、状況に応じた散布が可能だ。しかし、悪天候が続くと処理が遅れて散布のタイミングを逃すこともある。散布が遅れると雑草は肥大化し、トウモロコシの初期生育が抑制されて、成長はひ弱になる。従って生育処理剤だけで雑草処理しようとするならば、比較的雑草が少ない畑に限られる。また、生育処理は雑草が多いとどうしても高濃度での使用になるので薬害の危険も高くなる。

■薬害の危険性−処理方法による違い。
 除草剤による薬害の話をよく耳にする。薬害は作物の代謝能力がストレスで限界を超え、除草剤を処理しきれなくなった場合に起きる。ストレスには過度の高温または 低温、土壌水分の過剰または不足、あるいは霜や苗立枯れ病のような生育障害等、多種多様な要因があるが、ひとまとめで言えば「作物の生育に影響を与えて阻害するあらゆる要因」ということになる。
 薬害は土壌処理剤でも生育処理剤でも起きる。土壌処理の場合は低温で出芽に日数を要したり、乾燥の後の降雨でトウモロコシが一気に除草剤を吸収したような場合に薬害が生じやすい。生育処理の場合は低温でトウモロコシの生育が停滞しているような場合、


薬害の症状は除草剤によって異なる。症状は生育と共に消失するが、その後もダメージを引き継ぐ場合も多い。写真:アトラジンによる薬害症状

あるいは急激に温度が上昇したり、温度の日較差が大きいような場合に薬害が生じやすい。特に生育処理の場合は、同じ除草剤を使用しても、散布時期が若干前後する事により薬害が生じたり、トウモロコシの生育ステージの差によって薬害の程度が違う場合が多い。

■生育処理は散布時に注意を要する。
 最近、主に生育処理剤としてスルホニルウレア系の除草剤「ニコスルフロン」の使用が増えている。ニコスルフロンは一年生のイネ科、広葉雑草全般に有効で、しかも従来コントロールが難しかったシバムギのような多年生イネ科雑草にも有効な、極めて便利な除草剤だが、ラベルにある適用時期に従った散布を心がけていただきたい。
 除草剤を効果的に使うには作業日程から土壌処理、生育処理と決めるのではなく、雑草の発生する種類や量、そして除草剤の特性に応じた判断が必要だ。播種後も注意深く畑の状態や生育を観察する事が何よりも重要だと最後に指摘しておきたい。